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獣の躾 side伊織①
珍しいことに、朝イチで詩音君からメールがあった。
『おはようございます。朝イチで申し訳ありません。
伊織さんにぜひご相談させていただきたいことがあるのですが…
もしご都合がよければ、今夜お時間いただけませんか?
時間も場所も伊織さんに合わせますので、どうかよろしくお願い致します。』
短文だが、切羽詰まったような感じ。
どうしたんだろう…継君がまた何かやらかしたのではないか?
今夜…丁度いい!
俊哉さんは出張でいなくなる!
あの人がいるとややこしくなるから…
詩音君を家に呼んで、ご飯食べながらゆっくり聞いてあげよう。
明日は休みのはずだし、そのまま泊まってもらってもいいな…
『おはようございます。
丁度、俊哉さんに届ける書類があるから、夕方詩音君の会社に行くんだ。
出張でいなくなるから、よかったら家でご飯食べない?
そのまま一緒に帰ろう。
俺でよければ何でも聞くから。
定時で上がれる?』
すぐに返信があった。
『甘えちゃって申し訳ありません。
いいんですか?
ありがとうございます!
はい、大丈夫です。定時で上がります。』
『じゃあ、駐車場で待ってるね。
下まで降りてきたら電話して!』
『お手数お掛けして申し訳ありません。
よろしくお願い致します。』
『おけー』
継君…今度は何をやらかしたんだ?
君は、この間の番拒否症候群で懲りてるんじゃないのか?
「おーい!伊織ぃーー♡
このネクタイどうかなぁー♡」
…ややこしいのがここにもいたよ。
「はいはい。ネクタイがどうしたんですか?」
甘ったれの大型犬を構いにクローゼットへ向かった。
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