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躾けられる獣①

side:継 やってしまった…欲望に…負けた… 十代の若造じゃあるまいし(いや、今でも十分若造だ)疲れてクタクタになって意識のない詩音を犯すように抱いてしまった… だって、俺の詩音がかわいくてかわいくて、愛おしくて堪らなかったんだ。 念を押されていたよ、無理だって。 でも、俺の胸で無防備に眠る詩音は美しくて… それを見てたら、つい、つい…ちょっと触るだけのつもりが、最後まで…. 挙げ句の果てに叱られて(当たり前だ)、仲直りしようと会社を休もうとしたら、罵詈雑言怒涛の嵐が吹き荒れた。 …怖かった…俺のタマが縮み上がるくらいに。 あの詩音があんな風に怒るなんて… 母が兄をボコボコにした時くらいに恐ろしかった… あれから口すら聞いてもらえない。 どこかへメールしているようだったが、聞けなかった。 確かに、詩音の言う通りだ。 弁解の余地すらない。 全部詩音が正しいのだ。 言い訳すら聞いてもらえない…というか、言い訳なんて思い浮かばない。 言えるはずない。 言い訳なんかないんだから! どうしたら許してもらえるんだろうか。 もしかして、ずっとこのまま? そんな…どうしたらいいんだろう… モヤモヤ考えて謝ろうとして、やっと名前を呼んだ。 けれども続く言葉を遮られ、エレベーターを降り際に言われた。 『今夜は遅くなるかもしれませんがご心配なく。 食事もいりません。今夜はお一人でお願いします。 それでは失礼致します。』 遅くなる? 一人で?それとも誰かと一緒に? 俺、こんな気持ちのまま一人で放置される? そんな…詩音… 無情に閉まるエレベーターのドア。 俺と詩音を引き離すように、小さな箱が上昇していった。

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