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躾けられる獣③

お昼の誘いのラ◯ンを打っても 『行きません。』 のたったひと言だけ。 完全に怒っている。 前置きの『ごめんなさい』の言葉もない… ダメだ…詩音が足りないよ… でも、ここで押しかけても、今日の詩音の怒り具合が今までと違うから、この間みたいに上手くはいかないのは目に見えてる。 篠山さんの言う通りに我慢するしかないのか。 思いっ切り落ち込んで、一人寂しくお弁当の蓋を開けた。 いつもと同じ、手の込んだおかず。 俺の健康を考えて薄味で野菜がたっぷり入っている。 煮物を箸でつまんで口の中へ。 美味い。 美味いけど…足りない。 詩音が足りない。 自分が仕出かしたこととはいえ、辛いなぁ。 もそもそと食べていると、ノックの音が! 詩音?詩音なのか? 「どうぞ!」 入ってきたのは、中田部長だった… 「…なーんだ、中田かぁ…」 「俺で悪かったな。で?今日は一人か?」 ぶすっと不貞腐れて黙っていると 「詩音君も一人で食べてたな。 何だよ、また夫夫喧嘩か?」 「………………………」 「ははっ。やっぱりそうか。 で?お前、何やらかしたんだ? あの様子じゃ、相当なことやったんだろ。 あれ、普通の怒り方じゃないぞ?」 「そんなに態度に出てるのか?」 「あぁ。他の奴らは気付いてないだろうけどな。 俺は柚月で慣れてるから。」 「何だよ!お前だってヨメさん怒らせてるじゃないかっ!」 「俺達のは愛情の確認のための喧嘩だからいいんだ! 継は…前科があるだろ?“番拒否症候群”」 それを言われたら返す言葉がない。 がっくりと項垂れる俺に、中田は 「詩音君、仕事はきっちりやってるから大丈夫だよ。 お前…いい加減に学習して大人になれよな!」 ひらひらと手を振って出て行った。 アイツ…今度何かあったらとっちめてやる!

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