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伊織さんの夫夫生活③

本当にゆっくりさせてもらって、風呂から上がると、新しい下着まで準備してもらってることに驚いたが、気配り心配り150%の伊織さんに、甘えることに専念しようと思った。 何をやっても叶わない、頭が切れ美しい年上の優しいスーパーΩ。 この人になら何でも相談できる。 俺のちっぽけな悩みなんて笑われるかもしれないが、聞いてもらおう。 「伊織さん、ありがとうございました。 お風呂いただきました。」 「あー、よかった。さあ、食べて飲むぞー! ビール大丈夫?」 「少しなら…」 「お茶もあるから勝手に飲んでね。 はい、俺達苦労するヨメにカンパーイ!」 「カンパーイ!」 はぁっ…胃に染み渡る… 「どんどん焼くからどんどん食べてね。 ところでさ、継君絡みでしょ? 彼、何やらかしたの? 今 電話したら、泣きそうな声出してたよ。 今晩、うちで泊めるって言ったら、絶句してた。今頃、絶対マジ泣きしてるよ。 『押しかけて来ないで』って念押ししといたけどね。」 「実は…」 俺は洗いざらい…本当は口に出すのも恥ずかしくって、どうしようかとも思ったけれど…なぜか伊織さんには隠すことなく、昨夜から今朝にかけての出来事を話してしまっていた。 次々と焼き上がる高級な肉をお皿に盛られて、もぐもぐと頬張り、お腹を満たしながら。 やっぱり警察の人なんだ… 伊織さんの醸し出す雰囲気もあるし、気負わずに自然に、思ってること全部吐き出しちゃう。 うんうんと相槌を打ち、肉を口に放り込みながら、ぐびぐびとビールを飲んでる。 それが上品に見えてしまうのは伊織さんならでは。

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