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伊織さんの夫婦生活⑤
「お子さん達は、どうされてるんですか?」
「年子の男三人なんだけどね、みんな成人してそれぞれに独立してる。
孫も二人いるよ。
残念なことに、三人とも俊哉さんの性格をバッチリコピーしたスーパーαなんだ。
俊哉さんが四人いたんだよ?
躾のしがいがあったなぁ…
おヨメさん達はよく遊びに来るし、一緒に買い物やご飯食べに行ったりするんだ。
やっぱり苦労してるみたいだけどね。
でも、それに負けずに尻に敷いて、鞭振るってるらしいよ。」
くくっ と、おかしそうに笑う伊織さんは、手酌で満たしたビールをくいっと飲んだ。
えっ、そうなんだ…三人とも成人済み!?
四十代!?この美しさで三児の母!?
孫って…おばあちゃん!?
嘘だ…
「伊織さん、綺麗過ぎる…」
思わず漏れた声に
「ヤダなぁ…俺達のことより、君達のことだよ!
継君、あの調子じゃ、本当に反省してるよ。
さっきの電話も落胆ぶりといったらなかったよ。
夜、詩音君が帰ってきたら、謝って許してもらおうと思ってたみたい。
この間の詩音君の“番拒否症候群”の時にもね、
『どうしたらいいんですかっ!?』
って、半ベソで電話掛けてきてさ。
でもさ、反省するのはいいけど、それを次に生かしてもらわないとね…
大体、仲直りにセックスで誤魔化そうだなんて…俊哉さんと一緒じゃんか!
絶対的αって考えることがそれしかないのかって。
ましてや仕事サボってそんなこと…
ちょっと時間は掛かるんだけど、“調教”するしかないよねぇ…」
「“調教”…ですか?」
「そう。“調教”。“飴と鞭”だよ。
おヨメさん達にも伝授した。」
ふふふっ と不敵な笑みを浮かべた伊織さんは、この上なく妖しくて美しかった…
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