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伊織さんの夫婦生活⑥
俺は思わず伊織さんの手をガシッと握って
「伊織さん!お願い!
俺にもそれ、伝授して下さいっ!
このままじゃ、俺、継のこと嫌いになるかもしれないっ!」
伊織さんは優しく微笑んで、俺の頭をぽんぽんと撫でると
「大丈夫!
αはΩの手の平で転がされてるんだから。
日頃は優しくして、おイタをした時は、バシッと…ね?
定番で月並みなことなんだけど…
寝室を別にするんだ。ちゃんと内鍵付きで。
無期限のエッチ禁止。
これだけでかなり効くよ。
家出もオッケー。
でも、行き先はちゃんと伝えなきゃ、心配して余計なことをしでかすからね。
最終兵器は『離婚届』だよ。
でも、喧嘩中でも、お家のことはちゃんとすること。
限度は…一週間…だな。
それ以上やると本当に亀裂が入るから、そこら辺、見極めてやらなきゃ。
一週間以内でも謝ってこなくなったら危険だからね。
αを本気で怒らせたら、後が大変だから。
逆ギレする前に、仲直りすること。
『あなたがあまりに謝ってくるし、反省しているようだから許してあげるけど、今度やったら…わかってるよね?』
っていうスタンスで。
今、若いから継君も盛ってるけど、子供が生まれたら少し落ち着くし、段々と歳を重ねていくにつれて、性欲も減退していくから、今だけ…
それと、詩音君も体力つけなきゃ。
バケモノみたいな継君に付き合わされるんだから、鍛えとかなきゃ身体がもたないよ。
きっとジムには通わせてもらえないから…あ、インストラクターとか、他の利用者にヤキモチ焼くんだよ、絶対。
お家に何か簡単なマシンがあるといいね。
後でうちのを見せてあげるよ。」
…伊織さんの背後に光が差している…
美しき影の支配者は、この上なく神々しかった…
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