391 / 829

伊織さんの夫夫生活⑦

一部屋潰して置いてあったのは、エアロバイクやランニングマシン、ベンチプレス… この部屋だけジムの一室になってた… 伊織さんも鍛えてるんだね。 男前な伊織さんのオーラに怯みながら、俺は少し酔っ払って気分も良く饒舌になって、(だんな)の悪口からノロケ話まで、笑って怒って、伊織さんの言うことに感心して…思う存分散々言い散らかしていた。 伊織さんは目元をほんのりと赤く染めて(…超絶色っぽいのだ…)、こんな伊織さんを見たら、香川先生は悶絶するだろうな、と思っていたら、いつの間にかビールからバーボンに変えて、ぐいぐいと飲んでいた。 氷を入れたグラスにミントを絞ってソーダを入れてる。 カッコいい…お酒、強いんだ…男前だ… 酔った風もなく、絡みがちな俺の言うことを嫌がらずに、相槌を打ちながら真剣に聞いてくれる伊織さんが、ますます好きになった。 と、そこへラ◯ンの着信が。 「ん?こんな時間に誰だろう… ふふふっ…詩音君、ダンナ様だよ。 どうする?無視する?」 「…だって、俺じゃなく伊織さんに掛かってきたんですから…伊織さんが決めて下さいよぉ。 俺…知りませんっ。」 「ふふっ、そう?じゃあ、出てみようか… もしもーし。」 「あっ、伊織さん?継ですっ! 詩音がお世話になっててすみません。」 伊織さんがスピーカーにしたようだ。 継の声が聞こえてくる… 「どうしたの?こんな時間に何?」 「俺、詩音がいないと落ち着かなくって…眠れないんです。 あの…迎えに行ってもいいですか? って言うか…今、下にいるんですけど。 詩音に心底謝るから帰ってきてほしいんです… 伊織さん、お願いします!詩音に取り次いでいただけませんか? 俺…詩音なしでは生きられない…」

書籍の購入

ともだちにシェアしよう!