397 / 829

やっぱり、大好き③

見る間に平らげて、恐る恐る 「ご飯のお代わり、お願いできるか?」 と聞いてくる継に、とびきりの笑顔で答えた。 「はい。」 途端に、ぱぁーーっと満面笑顔になった継。 ウレシイ ウレシイ ウレシイ 喜びの匂いが俺を包み込む。 こんなことでこんなに喜んでくれるなんて。 怒りに任せて今日一日、継を放置したことに、胸がちくりと痛んだ。 「美味かった。ご馳走様でした。 詩音、ありがとう。 片付けは俺がするから休んでて。」 「俺がするからいいです。お風呂どうぞ。」 「…ありがとう。」 少し涙声なのは気のせいか? 気付かぬフリをして片付け始めると、継がバスルームへ行ったようだった。 明日の準備も済ませて、リビングで継を待っていた。 俺も、無視したことや帰らなかったことを謝らなくちゃ。 ドキドキしながら継が出てくるのを待つ。 あ…来た。 不安気な顔をして継がやってくる。 俺の側まで来ると、すっと跪いて両手をそっと握られた。 「詩音…俺を許してくれる?」 眉毛が八の字になって、何とも情けない顔。 イケメンが台無しだよ、継。 “ごめんなさい”の匂いが満載だ。 俺も素直になって…。 握られた手を外していった。 継が『どうして?許してくれないの?』って顔してる。 違うよ、違うんだ。 ぎゅううっと継の首にしがみ付いた。 「俺も…ごめんなさい。もう、許してる。 でも、意識がない時にヤられるのは嫌です! わかって、継…」 継も俺をぎゅううっと抱きしめてくる。 「詩音…ごめん、ごめんな…もう、しないから…」 継の匂いに包まれ、すんすんとそれを吸い込んだ。 あぁ…やっぱり、大好き…

書籍の購入

ともだちにシェアしよう!