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やっぱり、大好き④

何をされても何を言われても、俺はこの(ひと)が大好きなんだ。 魂が震えるほどに。『運命の番』ってそうなんだ。 それを認めるのは悔しいけれど。 しがみ付く俺を継もずっと抱いてくれている。 優しくて甘やかな匂いに包まれて、ささくれ立ったココロが段々と修復されていく。 好き、好き。 大好き。 好き過ぎて頭がおかしくなりそうなほど。 出会えて良かった。 結ばれて良かった。 「…詩音…」 激甘な匂いをさせた継に、名前を呼ばれた。 「はい。」 「あの…今夜は…」 「ぎゅうって抱きしめていて下さい。 そしてそのまま、朝まで寝ましょうね。」 ずるっ とコントのように継が崩れ落ちた。 「詩音…そんなぁ…」 ふふっ。 ごめんね、継。 昨日の今日で、連日だと身体が辛い。 そんな簡単に飴ちゃんはあげないよ。 飴と鞭。そうですよね、伊織さん。 継は口をへの字に曲げ、何か言いたそうだったが、大人しく俺を横抱きにすると、寝室へと連れて行った。 そっとベッドに降ろされて 「せめて…お前の体温を直に感じさせてほしい。 脱がせてもいいか?」 考えるフリをして、じっと顔を見てから、頷くと、継はふっと微笑んで俺の服を脱がせ始めた。 少しずつ外気に触れていく肌。 露わになっていくそれを視姦され、肌が上気していく。 赤く色付いていく肌から、知らず知らず継を誘うフェロモンが出始めた。 マズい。 継の思うツボだ。 キッチリと釘を刺しておく。 「継、今夜は何もしないで、ぎゅって抱きしめるだけにして下さいね。」 っ…と声にならぬ声を出して、継が渋々頷いた。

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