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やっぱり、大好き⑨

継は外した俺の手の甲にキスをすると 「頭を冷やすよ。 詩音が安心して俺に委ねてくれるように、俺も大人にならなきゃ。 …しばらく寝室は別にしよう。 詩音が好き過ぎて、見境なく襲いそうだから。 あ…キスとハグは許してくれ。 お休み、詩音。」 項垂れて、とぼとぼと継が出て行った。 がちゃ ドアが閉まった瞬間、どうしようもない喪失感で身体が動かなくなった。 怒らせた? いや、違う。 これは、哀しみと どうしようもなく自分を責めてる匂いだ。 どうしよう… 俺が幼稚で継を受け取れることができなくて、理解できなくて…落ち込ませてしまってる。 追いかけて抱きつけばいいのか? でも、そうしたらまた朝まで抱かれて、うやむやになってしまう。 そんなことの繰り返しはもう嫌だ。 継は俺のことを本当に愛してくれている。 それは間違いない。 揺るがない事実。 自信過剰かもしれないけれど、絶対に愛されてる。 俺だって、継を愛してるし、継しかいらない。 だから。 『好きだ、愛してる』だけでは、これからの長い結婚生活は営めない。 その根っこの部分は変わらないけれど、二人とも大人にならなきゃ。 俺も…何かあったら閉じこもる癖をやめないと。 子供じゃないんだから。 初めての恋は、何もかもが新しくて、経験値がないからどうしていいのかわからない。 継に求められて求めて、盛った獣みたいに抱き合って。 結婚って、それだけじゃダメなんだと思う。 しっかりしろ、詩音。 お前は“麻生田 継”の伴侶だぞ。 彼を陰日向で支えなければならない。 ただかわいいだけのヨメではいけないんだ。 お義母さんと同じことはできないけれど、追いかけることはできる。 俺も…大人になろう。 ひとり寝の寂しさを埋めるように、ぎゅっと自分の身体を抱きしめて布団を被った。

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