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懺悔①

そこにはもう、お父さんが座って待っていた。 「わざわざすまなかったね。 来て早々で悪いんだが…詩音、大切な話があるから、そこへ座ってくれないか。」 繋いだ詩音の手に力が入った。 動きの止まった詩音を促して、手を繋いだままソファーに掛けた。 間もなくお母さんが、そしてお兄さんと、一番最後にお茶を持って義弘さんが入ってきた。 ピリリと緊張した空気の中、お父さんが切り出した。 「詩音、今日呼び出したのは、お前に謝らなきゃならないことがあるからなんだ。」 「…謝らなきゃならないこと? 俺は別に何もされた覚えはないですけど…」 「…我々も、正樹から言われるまで、全く忘れてしまってしたんだ。 …中学二年の時、お前のひいじいさんの法事で親戚一同が集まったのを覚えているか?」 「…あぁ…覚えています。」 「その席で、叔父の誠さんが、母さんとお前に暴言を吐いた。 『うちの家系でΩを産むなんて。 Ωは出て行け!』 とな。」 詩音の身体がびくっと跳ねた。 手の平がじっとりと湿ってくる。 ちらりと横を見やると、色白の詩音の顔が見る間に青くなってきた。 マズい! 俺は握った手を持ち替えて、肩を抱き寄せ包み込んだ。 肩の震えが伝わってくる。 「その時、俺はその場で反論しなかった。 幸い、他の親類が止めに入って、謝罪させてくれた。 別室で、母さんと二人っきりになって、そのことで口論になったんだ。 俺の煮えきらない態度に激昂した母さんは、売り言葉に買い言葉で、思ってもいないことを叫んだ。 『Ωなんて産まなければよかった!』 でも、それは本心ではない。 絶対に違う。 俺も母さんも、正樹とお前を分け隔てなく育ててきたつもりだ。」 詩音の身体の震えは止まらない。

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