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懺悔③
お義母さんは顔を覆い、号泣しながら
「ごめんなさい、詩音…ごめんなさい…
あなたを本当に愛してるの。
産まれてきてくれて本当にありがとう…
ずっと辛い思いをさせてしまってごめんなさい…」
嗚咽の中から途切れ途切れに、ごめんなさい、ごめんなさい…と言い続けている。
「詩音、俺達はお前が産まれてきてくれて、本当にうれしかったんだ。
Ωであろうとなかろうと。
産まれてきてくれて、本当にありがとう。
今までずっと辛い思いをさせて悪かった。
…すまない…」
お義父さんは頭を下げ続けている。
詩音は…
俺の胸に顔をくっ付けて、黙って聞いていた。
いつの間にか、身体の震えは止まっていたが、顔色はまだ悪かった。
何を考えているのだろう。
匂いは…怯えと喜びと戸惑いと、雑多な感情に揺れ、どうしていいのかわからないようだった。
「詩音?」
身体を摩ってやりながら、優しく声を掛けてやる。
その声に、ゆっくりと見上げてきた瞳は涙で潤み、唇は震えていた。
「お前は愛されてるんだ。
産まれた瞬間からも、これからも。
その愛情は覆ることはない。
お義父さんもお義母さんも、お義兄さんも。
みんなお前がΩだろうが何だろうが、この世に産まれてきてくれて、存在してくれて、ありがとうって。
それに、俺も感謝したい。
俺のために産まれてきてくれたんだろう?
俺の大切な、大切な、唯一無二の存在。
愛してるよ、詩音。」
俺を見つめていた目から、ぽろり と一筋、涙が煌きながら流れた。
詩音の顔が、くしゃりと歪んだ。
ふえっ
うわぁーーーーーん
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