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懺悔⑤

詩音は、自分の両手を握りしめて泣き続ける母親を困惑しながら見ていたが、やがて顔を上げて答えを問うように俺を見た。 俺はしっかりと詩音の目を見つめて頷いた。 再び母親の方を向いた詩音が声を掛けた。 「おかあ…さん…」 「詩音っ!ごめんなさいっ!ごめんなさい… 詩音…詩音っ…」 ぽろっ また、詩音の目から綺麗な涙が零れ落ちた。 「お…かあ、さん…」 うわぁーーーっ 俺の膝から滑り降り、母親にしがみ付いて泣く詩音が小さな子供に見える。 「詩音、ごめんなさい、ごめんなさい。 本当にごめんなさい。 あなたを産めて幸せよ。 私達の子供でいてくれてありがとう… 大切な私の息子…」 お義父さんが駆け寄り、二人を抱きしめた。 俺はぼんやりとその光景を見ながら、これでやっと、詩音が苦しみから解放されると、安堵していた。 詩音が泣き止む頃、お義母さんが 「泣き過ぎてお腹空いたわね。 ご飯にしましょう! 義弘君がご馳走を作ってくれているのよ。」 さぁさぁと急き立てられて、リビングへとみんなが移動し始める。 詩音はゆっくりと俺の側に来て、手をぎゅっと握ると、真っ赤に腫れた目で見つめて言った。 「継…心配かけてごめんなさい。 もう…大丈夫です。本当に、ありがとうございました。」 俺はその頭を撫で頷くと、みんなに見えないようにキスをした。

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