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懺悔⑦
俺は首を振った。
「お義兄さん、とんでもない!
詩音は本当によくやってくれています。
俺はもう、詩音なしでは生きていけない…
今回のこと…お義兄さんと義弘さんには、何てお礼を言っていいのかわからない…
本当に感謝しています。
ありがとうございました。」
「いいや、俺達じゃない。
真剣に詩音のことを思ってくれてる継君だからこそ、気付いたことだよ。
あの子を救ってくれて…継君、家族を代表してお礼を言わせてもらうよ。
ありがとう、本当にありがとうございました。
これからも、どうかあの子を愛してやってほしい。」
「お義兄さん…」
「継君…」
ガシッと固くハグをした。
と、そこへ義弘さんがやって来た。
「継君、ご飯のお代わりいかがですか?
正樹もどう?」
「「いただきますっ!」」
ふわっと笑った義弘さんは、とても幸せそうで綺麗だった。
動けなくなるまでお腹一杯食べて、すっかり落ち着いた詩音を連れて、橋下家に暇乞いをした。
詩音が持った紙袋には、義弘さん自慢の品々が詰められたタッパーが入ってるんだろう。
別れが名残惜しげな両親と詩音を見ていると、今夜は実家で泊まれと言いそうになったが、俺自身詩音不足で倒れそうだったから、敢えて言わなかった。
車中…
「継、本当にありがとうございました。
俺の…心に雁字搦めになっていた鎖が、完全に切れました。
もう…もう、大丈夫です。」
「そうか…よかった…
お義兄さんと義弘さんのお陰だよ。
それに、非を認めて受け入れて、本心を伝えてくれたご両親にも感謝しなければ。
詩音、もう、何も怖いものはないから。
俺が絶対に守ってやる。」
「継…」
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