422 / 829
解放③
継は土足のまま駆け上がると、バスルームへ一直線に向かう。
靴を脱ぎ捨て俺を下ろすと、ジャケットを剥ぎ取られた。
ネクタイが、しゅるりと音を立てて外される。
吸い寄せられるように視線が絡み合った。
情欲を孕んだその瞳に、ぞくりと鳥肌が立った。
継は物も言わず、ひたすら俺の服を剥いでいく。
何も言えない。
言葉が出ない。
あっという間に一糸纏わぬあられもない姿にされてしまった。
まだ、指すら触れていないというのに、俺の乳首は赤く熟れて尖り、俺自身の先端からは とぷりと透明な液が溢れている。
後孔はヒクついて、中から染み出した愛液が、太腿を伝って…
ぶわりと継を求める匂いが溢れた。
「やだっ!見ないで!」
羞恥のあまり、自らの身体を抱えてその場に蹲った。
継はネクタイを外しながら、脱衣所の電気を消してくれた。
ドアの隙間から微かに漏れる光が、ぼんやりと二人の身体の輪郭を映している。
「これでいいか?」
頭上から、優しい声が降ってきた。
ばさっ、ばさっ と継が服を脱ぎ捨てる音が響く。
継は、俺の前に跪き両手を掴むと、自身の楔に触れさせた。
熱くて固い…脈打ってる…それに、もうぐっしょりと先端から溢れてる…
思わず手を引きそうになる俺に
「愛してるのに、何が恥ずかしいんだ?
お前が好きすぎてかわいくていじらしくて…
もう、こんなになってるんだ。
詩音…俺を愛してくれ…」
そっと抱きしめられて、請われるままこの身を預けた。
温かくて、優しくて。穏やかで、逞しい。
何よりも…安心する。
継のキスが顔中に落とされ、耳の中まで舐められ耳朶を甘噛みされ、ぶるっと震えた。
頸の傷痕を優しくなぞられる頃には、吹き出すフェロモンを押さえることができなくなっていた。
書籍の購入
ともだちにシェアしよう!