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解放 2nd④

その熱い眼差しに射竦められ、視線を逸らすことができない。 目だけが別の生き物になったみたいだった。 瞬きも忘れて見つめたまま、下から突き上げられる。 「…あっ、はっ…ん、はっ」 吐息が桃色に染まっていくように感じる。 継からも、甘ったるい蜂蜜のような匂いがして止まらない。 俺のことを思ってくれてる? 俺を…愛してくれてる? 無言の問いかけに、ますます濃厚になるフェロモン。 快楽に囚われた身体は上気し、うっすらと汗をかいている。 桜色に染まった身体を跳ねさせ、ひたすらに継の精の放出を待っている。 俺自身は放つ物もなくなって、それなのに絶頂感が続いて頭がおかしくなりそうだった。 全身を走る甘い痺れ。 喘ぐ声は掠れて、もう出ない。 「くっ…詩音、出すぞっ」 継が抉るように、切っ先を奥まで滑り込ませてきた。 また、継の楔が大きく膨らんで…最奥に叩きつけられるように熱が放たれた。 じわじわと身体の芯まで侵食されていく。 熱い… その熱さは、すぐに和らぎに変わっていった。 継の愛が俺の内側から染み込んでいく。 潤んだ瞳で見つめると、極上の微笑みが返ってきた。 「詩音、愛してるよ。」 何千、何万回と注がれてきた愛の言葉に、心も身体も震える。 頑なに鍵を掛けて閉じこもっていた俺の心を解き放った(ひと)。 触れる肌が 口から溢れる愛の言葉が 放たれるフェロモンが 俺の全てを包み込んで癒してくれる。 心からの『愛してる』と『ありがとう』を伝えて…継の胸に崩れるように気を失った。

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