435 / 829

解放 2nd⑥

滅茶苦茶恥ずかしいけれど、ちゃんとお礼も言わなくちゃ。 「身体…綺麗にしてくれてありがとうございます。」 「俺から離れてどこに行くの?」 「あ…洗面所に…」 「…そう…終わったらすぐに戻ってきて…」 甘えるような声音に、何だかおかしくなりながら「はい」と答えて部屋から出た。 鏡を見てぎょっとした。 あちこちに散らばる鬱血の跡。 所々に歯型も付いている…噛まれた!? くるりと回って背中も見ると、お尻や ふくらはぎまで赤い跡が付いていた。 途端に昨夜のことを思い出して恥ずかしくなり、バスルームに駆け込んだ。 頭からお湯を被り、濡れて浮かび上がるその跡を一つ一つなぞってみる。 お腹の奥がきゅうっと疼いて、夕べの痴態を思い出して居たたまれなくなった。 それでも 俺のあんな姿を見るのは継だけ。 継にしか見せない。 それでいい、見せろ、と継は言ったから。 愛された証拠の赤い花びらが愛おしくて、このまま消えないでと祈る。 継が愛してくれている間は、俺の身体に咲き続けるだろう。 急いで全身を洗い、髪を乾かして、継の元へ戻った。 継はゆったりと横になっていて、俺が戻ってくると布団をそっと捲って中に入るように促した。 俺もそれに逆らうことなく滑り込むと、即座に抱き込まれ、すんすんと匂いを嗅がれた。 「詩音の匂いがボディーソープに消された。」 拗ねるようにそう言うと、マーキングするかのように自分の匂いを擦り付けてきた。 「継…擽ったい…」 くすくす笑って逃げ出そうとすると、背後から抱きしめて逃げないように拘束してくる。 …継の固いものが当たる。 熱を帯びたその塊をぐいぐいと俺に押し付けてくる猛獣。

書籍の購入

ともだちにシェアしよう!