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結婚式前夜②
俺を抱きしめて大笑いする継に、口を尖らせて反論する。
「そんなに大笑いしなくってもいいじゃないですかっ!」
「…くっくっくっ…ごめん、ごめん…
詩音がそんなこと気にしてたなんて…
生活環境も、結婚する年齢も、付き合ってからの年月も、年収や家族構成も、みんな違う。
百組のカップルがいたら、百通りの愛し合い方があるんだ。
だから、平均何回とか、そんなのアテにならないぞ?
…ちなみに、俺の周囲はみんな『毎日』か『ほぼ毎日』だから安心しろ。」
え…俺の周囲って…
あの人…も、あの人…も、この人…も!?
あわわ…顔を思い浮かべるのはやめよう…
次に会った時に、顔を見れなくなる…
真っ赤になったり真っ青になったり、目まぐるしく変わる俺の顔色。
継は俺をそっと抱きしめると
「俺は毎日…いつでもどこでも詩音を抱きしめたいし、愛し合いたい。
回数とか時間とか、そんなこと、どうでもいいんだけど…
どうしても“平均値”にしなくちゃいけないのか?
俺の詩音への愛は平均値なんかで測れないんだけどな…」
俺は少し身体を離すと、唇を尖らせたまま継の目をじっと見つめた。
その尖った唇に、継がちゅっちゅっ と軽めのキスをしてくる。
キスされてるうちに、何だか馬鹿馬鹿しくなって、二人で吹き出してしまった。
「…くっくっくっ…やっぱり詩音は笑顔が一番いいな…
人と比べても仕様がない。
俺達は、俺達の愛し方をしよう。
それでいいだろ?」
「…はい…でも…」
「でも、何だ?」
「…手加減して下さいっ!
身体…もちませんから…」
「…善処する…」
深い深いキスをされ、とろんとなった俺を軽々と抱えた継に、また、たっぷりと愛されてしまった…
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