444 / 829
ついに…結婚式!②
玄関に担当の道上さんが待ってくれていた。
「麻生田様、ようこそ!お待ちしておりました。
さあ、こちらへ。」
継に手を繋がれたまま、控え室へと案内される。
テーブルの上には、コンポートのお皿に、白いバラとアイビーが綺麗に飾り付けられていた。
そして奥には、俺達が選んだモーニングコートが並んで掛けられている。
あぁ、やっぱり綺麗…今からこれを身に付けて、継と一緒にあの場所で永遠の愛を誓うんだ…
そう思ったら胸がじんと熱くなってきた。
継と道上さんが何か話している。
「…じゃあ、親族が来たら内線掛けて下さい。
それまでは二人で過ごしたいので。」
「はい、承知致しました。
何かありましたら、お呼び下さい。」
…道上さんが一礼して出て行った。
「…詩音、おいで…」
俺から不安な匂いが溢れてるんだろう、ソファーに座った継に招かれ、膝の上に乗せられた。
「二人っきりにしてもらったから。
こうしてたら落ち着くだろ?」
おデコを合わせ鼻先を擦り合うと、段々と落ち着いてきた。
「継…ありがとうございます。
どれだけ俺のこと、甘やかすんですか?」
「くくっ、そうだな…もう、一生だな。」
俺も…の返事の代わりに、触れるだけの口付けを一つ。
驚く継に、もう一つキスをして、首にぎゅっと抱きついた。
継に抱きついて抱きしめられ、継の匂いを嗅いで、俺はすっかりリラックスしていた。
俺の匂いを嗅いで、それを感じ取った継は
「そろそろ着替えようか。
俺が着せてやるからおいで。」
と、抱き上げられ、パーテーションの奥に運ばれた。
慣れた手つきで、俺の着ている物を次々と脱がせると、ハンガーに掛けられた式服を着せられる。
「自分で」
と言い掛けた、その唇を塞がれて
「俺にさせろ。」
と甘くささやかれて、目眩がしそうだった。
書籍の購入
ともだちにシェアしよう!