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ついに…結婚式!⑥

扉の前には明らかに緊張した両親が待っていて、俺たちを見るとホッとしたような顔をした。 母が、何か薄い布を手に持っている。 何だろう…ヴェールだ! 軽やかなレースの美しいヴェールを差し出して 「…これをどうしても渡さなきゃって思ってたの。 控室で渡そうとしたんだけど、躊躇しちゃって… 嫌じゃなければ付けてくれるかしら? おばあちゃんから頂いて、私も義弘君も付けたのよ。」 継を見ると、微笑んで頷いてくれた。 俺は母に 「ここで付けれる?」 「ありがとう!すぐ付けるわ!」 あっという間に頭にヴェールが付けられた。 そして「先に行くわね」と母は満足気に館内へ入って行った。 継は、父の前に立つと 「お義父さん、改めて…これから詩音を頂戴します。 必ず幸せにしてみせます。 どうぞよろしくお願い致します。」 と深々と頭を下げ、繋いだ俺の手を父にバトンタッチした。 そして俺の頭を撫でると 「中で待ってるから。」 と言い残し、扉の向こうに消えて行った。 しばらくして父は顔を背けたまま 「詩音…」 「はい。」 「いい人と巡り合ってよかったな。…幸せになるんだよ。」 と、ポツリと呟いた。 ヴェール越しに、その目の端にキラリと光るものを見て、胸が詰まった。 「お父さん…」 何か言おうと口を開きかけた時 「ご入場のお時間です!」 音楽が鳴り、扉が開いた。 何も言えないまま、促され一礼した俺達は、祭壇で待つ継の元へ歩き出した。 「…お父さん、ありがとう…」 「うん。」 やっと言えた言葉…エスコートする父の手が震えている。 ちら…と父を見ると、口を真一文字に結び、泣くのを堪えている風に見えた。 俺も泣きそうになったが、微笑んで待つ継の顔が見えて、ぐっと堪えた。

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