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ついに…結婚式!⑨
食事会と名を変えた披露宴は、終始和やかに進み、継と夏樹も仲良くなったのか、笑いながら話をしていた。
お義母さんや義弘さん、右京さんが次々と声を掛けてくれ、俺は退屈する暇もなく、楽しみながら時間を過ごしていた。
そんな中、右京さんが
「あれ?詩音君。食事進んでないけど…まだ緊張してる?」
「う…ん。何だか胸一杯で…せっかくの美味しそうな料理なのに食べられないなんて残念。
それに最近、結婚式を控えて緊張し過ぎたのか、何かムカムカして気持ち悪くって。」
「そう…少しでも口にしたらどう?
何も食べないと余計に気持ち悪くなるし、緊張が解けないよ。」
「そうですね。じゃあ、後でちょっとだけ。」
少し考えた風の右京さんが、俺だけに聞こえるように小さな声でささやいた。
「ねぇ、詩音君…発情期 の周期、ちゃんと来てる?
ひょっとして、そのムカムカ…悪阻…妊娠…してるかも?」
そう言えば、最近食欲が落ちていた…気持ち悪くて食べられなくて吐くことも。
継の前では少し無理して食べてるけど、量をかなり減らしていたのだ。
結婚式を控えて、いろいろと気にすることがあったせいだと思ってた。
「右京さん…そう言われたら…俺、ヒート遅れてる。
避妊、してないし…」
「そっか、じゃあ、早めに香川先生に診てもらった方がいいかもね。
もしそうなら、みんなすっごく喜ぶよ!
違っても落ち込まないで!
それまで内緒にしておくから。」
こそこそと内緒話をしている俺達の所へ、お義兄さんがやってきた。
「右京、横にならなくていいのか?部屋を取ってもらってるから、そっちに行ってもいいんだぞ?」
「大丈夫!今、詩音君と話してるんだから、あっちに行っててよ。
潤、あ・と・で・ね!」
「おっ、おう!あ・と・で・な♡」
「右京さん、お見事です…」
「えへっ。ありがと。」
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