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うれしい知らせ①

継に手を繋がれ、エレベーターを降りた所から横抱きにされた。 「継?下ろして!自分で歩きますからっ!」 それも無視されてドアまで来ると 「花嫁は姫抱きされて家に入るもんなんだよ。」 と諭されてキスされた。 軽々と俺を抱いて玄関に入り、靴を脱がせてまた姫抱きにされ、リビングへ運ばれた。 今までも何度となくこうやって運ばれているが、全く慣れない。 ソファーにそっと下ろされて、ぴったりとくっ付いて座ると、両手をしっかりと握られた。 「さてと…詩音。俺への隠し事は何?」 きた!!! 心臓がばくばくと跳ね始めた。 覚悟を決めて言うしかない… もし、間違っていたら、ごめんね って言って、たくさん愛してもらおう… 勇気を振り絞って継に伝える。 「継、あのね、あの…最近食欲がなくて、気持ち悪くて吐いたりしてたんです… 発情期(ヒート)も遅れてて… あの…間違ってたらごめんなさい! 病院にも行ってないから、わかんないんだけど… あの…ひょっとしたら…あの…」 顔を上げて継を見た。 目は大きく見開かれて、口がポカンと開いてる。 継…変顔もイケメン… 「…詩音…それ…それって、まさか…まさか… 俺達に、子供が??」 「検査薬も使ってないし、本当にわからないんですっ! だから、あの」 継は崩れた顔をきゅっと引き締め、携帯を掴むと素早くタップして電話を掛けた。 数回コールの後 「おーい、二代目、元気にやってるかー?」 香川先生! 「先生、今どこ?」 「何だよ。藪から棒に。俺の病院だよ! 時候の挨拶も『お元気ですか?』のひと言もないのかよ… で?何?どうした?」 「今からすぐ行くから、詩音を診て下さい! 話は後で! じゃあ!」 先生に有無を言わさず電話をブチ切った。

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