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うれしい知らせ⑦
俺が飲み込むのを確認して、また一粒。
そしてまた一粒。
「…餌付けしてるみたいだ。」
継が笑っている。
自分でもそう思って恥ずかしくなっていたのに、改めてそう言われて、真っ赤になって俯いた。
「ほら、詩音。あーん。」
もう恥ずかしくて、ふるふると首を振る。
「あ…ごめん、揶揄ったんじゃないぞ。
お前があんまりかわいくて…
ほら、拗ねてないで口を開けて?ね?ね?」
思わず上目遣いのジト目で見てしまった。
継…眉毛が下がってます…
もう、その顔…
少し口を開けると、にぱぁーっと笑顔になり、また食べさせてくれた。
「…もう、お腹一杯です。継、ありがとう。
ご馳走様でした。」
「もういいのか?…お腹空いたらすぐに言うんだぞ?」
「継…過保護過ぎます。俺、大丈夫ですから。
片付けは俺が」
「いや、詩音は座ってなさい。俺がやるから。
いい子だから今日は俺の言うことを聞いて。」
有無を言わさずサッサと片付けを始めてしまい、仕方なく俺は継がすることをぼんやりと見つめていた。
俺をそっと抱き上げてソファーに連れて行った継は、俺のお腹に手を当てると
「ここにいるのか…俺達の子供が。
おーい!パパだよー!」
「ふふっ…継…まだわかんないですって。」
「そんなことないぞ、胎教だ!
絶対、この子には俺のことがわかる!
男でも女でも、αでもΩでも、とにかく元気で無事に産まれてくるんだぞ。
パパもママも待ってるからな。」
「…継…もう、親バカですか…」
「親バカじゃない!愛だよ、愛!」
そしてお腹を撫でながら呟いた。
「詩音、ありがとう…」
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