466 / 829
うれしい知らせ2⑤
さてと…
服を脱いで鏡を見た。
くるくると回って、前後、横…とチェックする。
何も変わらない体型。
宿ったばかりだから、お腹も当然ペタンコ。
でも…
時折、ふわふわと甘えるような匂いがしてくるから、絶対にココにいるんだよね!?
継が『αでもΩでも』と言ってくれたから、その言葉を信じて…
だから、元気で大きくなって、生まれておいで。
パパはもう、すっかり親バカだよ。
今は『チビちゃん』と呼んでいるけれど、性別がわかったら、名前で呼ばなきゃ。
どんな名前がいいんだろう。
後で継に相談してみよっと。
俺の名前を付けた時、両親はどんな思いで『詩音』と名付けたんだろう。
自分が親になるとわかって知る、いろんな思い。
はっくしゅっ
いけない!ぼぉっと考えていたら、風邪引いちゃう!
急いで、温かなお湯を浴びた。
髪を洗い、身体も清めてから湯船に浸かると…
ふわりと、リラックスしてご機嫌な匂い。
ふふっ、この子はお風呂が好きなのかな。
継がチビちゃんと浴槽で遊んでいる様子が頭に浮かんだ。
生まれる前からあんなに親バカで、実際に生まれたら、継、泣いちゃうかもね。
継を愛して愛されて、そして新しい命を紡ぐ。
不思議な縁で結ばれた俺達は『運命の番』。
こんなに近くにいるのに、継の顔を見て、あの広い胸に腕に、抱きしめられたくなった。
早く出て、ぎゅってしてもらおう!
チビちゃん、パパが恋しくなったから、もう上がるよ。
そっとお腹に手を当てて、そう呟くと、ちょっぴり残念そうな匂いになった。
くすくす笑いながらお腹を撫でて、急いで支度をして継の元へと戻っていった俺なのだった。
書籍の購入
ともだちにシェアしよう!