467 / 829

うれしい知らせ2⑥

いつもの時間に出社した俺達は、二人で社長室へ向かった。 普段は俺が先にエレベーターから降りるのだが、今日は一緒に、篠山さんに報告したかったから。 「「おはようございます。」」 「おはようございます。 おや、詩音様お珍しい。どうなさったのですか?」 二人で顔を見合わせ、微笑んで実直な秘書殿を見つめた。 「ええ。篠山さんにご報告があって…ね、詩音。」 俺は思わずポッと頬を染め、頷いた。 その様子を見て、カンの鋭い篠山さんは 「ひょっとして…オメデタですか? おめでとうございますっ! あぁ…うちの家内も聞いたら大喜びしますよ! 詩音様、どうか今まで以上にお身体を大切になさって下さいね。 お送りするときは私もしっかりと運転しなければ! 本当におめでとうございます…」 篠山さんは、俺たちの手を合わせてしっかりと握りしめて、祝福してくれた。 そのうち、彼の肩が、微かに震え始めた。 「篠山さん?」 「…っく…すみません…あまりにうれしくて… 社長が父親になられるなんて…感無量です。 年をとると、涙もろくなってしまって…」 篠山さんは、そっとハンカチで涙を拭くと 「さぁ、社長!これまで以上に頑張っていただきますよっ!」 と、目も鼻も真っ赤にしたまま、継にハッパをかけた。 「…秘書殿はきびしいなぁ…」 継のボヤキが聞こえてきた。 「ふふっ。篠山さん、継のお守りをよろしくお願いしますね! じゃあ、また後で来ます。」 「はい、お気を付けて。 社長!まずこれから片付けて下さいっ!」 うん、不動の篠山さんだ。 ちょっぴり不機嫌な継を残して、エレベーターに乗り込んだ。

書籍の購入

ともだちにシェアしよう!