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うれしい知らせ2⑥
いつもの時間に出社した俺達は、二人で社長室へ向かった。
普段は俺が先にエレベーターから降りるのだが、今日は一緒に、篠山さんに報告したかったから。
「「おはようございます。」」
「おはようございます。
おや、詩音様お珍しい。どうなさったのですか?」
二人で顔を見合わせ、微笑んで実直な秘書殿を見つめた。
「ええ。篠山さんにご報告があって…ね、詩音。」
俺は思わずポッと頬を染め、頷いた。
その様子を見て、カンの鋭い篠山さんは
「ひょっとして…オメデタですか?
おめでとうございますっ!
あぁ…うちの家内も聞いたら大喜びしますよ!
詩音様、どうか今まで以上にお身体を大切になさって下さいね。
お送りするときは私もしっかりと運転しなければ!
本当におめでとうございます…」
篠山さんは、俺たちの手を合わせてしっかりと握りしめて、祝福してくれた。
そのうち、彼の肩が、微かに震え始めた。
「篠山さん?」
「…っく…すみません…あまりにうれしくて…
社長が父親になられるなんて…感無量です。
年をとると、涙もろくなってしまって…」
篠山さんは、そっとハンカチで涙を拭くと
「さぁ、社長!これまで以上に頑張っていただきますよっ!」
と、目も鼻も真っ赤にしたまま、継にハッパをかけた。
「…秘書殿はきびしいなぁ…」
継のボヤキが聞こえてきた。
「ふふっ。篠山さん、継のお守りをよろしくお願いしますね!
じゃあ、また後で来ます。」
「はい、お気を付けて。
社長!まずこれから片付けて下さいっ!」
うん、不動の篠山さんだ。
ちょっぴり不機嫌な継を残して、エレベーターに乗り込んだ。
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