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謎の行動①
それから暫くは、新しい事務計画の通りに進んでいった。
心配していた悪阻も、そう酷くなくて、俺は一安心していた。
チビちゃんは、日増しに喜怒哀楽の感情が増えていっているような気がする。
今は、何が気に入らないことでもあったのか、ちょっぴり不満気な匂いがふわふわとしている。
継は相変わらずの溺愛っぷりで。安定期に入るまでは…と必死に我慢しているらしい。
ごめんね、継。
もう少し…もう少しだけ待ってね。
でも…でも、もし、もし…この状況に耐えられなくて、浮気でもしたらどうしよう…
考えていたら、頭が真っ白になって涙が出てきた。
ぽろっ…
「詩音!?詩音、どうしたんだ?
どこが痛いのか?ん?どうした?」
風呂から上がったばかりの継に抱きとめられて、質問責めにされる。
ふるふると首を横に振り
「ち…がう…うえっ、っく…ひいっく…」
うっ、うっ、うわぁーーん
涙が後から後から溢れて止まらない。
遂に大号泣となった。
涙の訳がわからない継は、俺を抱きしめたまま、オロオロとしている。
「詩音?詩音、一体どうしたんだ???
何があったんだ?詩音?」
チビちゃんのご機嫌も超悪い。
俺の気持ちにリンクしているのかもしれない。
不機嫌プラス怒りの匂いに変わった。
頭から背中、腕を撫で摩られて、継が触れる所から溢れんばかりの愛情が伝わってくる。
心配と焦りとたっぷりの愛情の合わさった匂いが、継から流れ込んできた。
継は、やっと泣き止んできた俺の両頬を包むと
「泣き虫奥さん、どうしたんだ?
お前が泣くのは俺絡みなんだが…生憎身に覚えがない。
一体どうした?」
親指で涙を拭くと優しく尋ねた。
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