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謎の行動④

継が俺の口から、継自身を慌てて取り出して、バスタオルで押さえた。 俺は急に空虚になった口を開けたまま、継を見ていた。 「くっ…」 呻き声を上げた継は、ぶるりと身体を震わせると、欲を吐き出していく。 その様がセクシーで、神々しくて、俺はしばらく見惚れていた。 継、綺麗… はあっ…と大きなため息をついた継は、俺の視線に気付くと 「詩音…無理するな。気持ち悪くなっただろ? でも、久し振りですごく気持ち良くて…呆気なくイってしまったよ。 ありがとう、いい子だ。」 俺の背中を撫で、口を拭ってくれた。 全身から雄の匂いが噴き出している。 継の匂い…もっと、もっとほしい… 何故か『継の匂いで包まれていたい』と、いう思いに駆られた。 裸の継にぴたりとくっ付いて、すんすんと匂いを嗅いでみる。 「詩音?擽ったい。」 ふふっ と継が笑うけれど、俺は真剣だった。 「詩音?」 訝しげに継に問われるが、何て答えていいのかわからない。 『継の匂いがほしい』『継の匂いに包まれたい』 そう言えば、きっと『匂いだけか』と不貞腐れてしまうだろう。 「…シャワー浴びてくるから、いい子で待ってて。」 黙った俺の髪の毛にキスすると、濃い匂いの付いたバスタオルまで持って行ってしまった。 あ…バスタオル… 置いていってよ… 喉元まで出掛かって………我慢した。 辺りを見回して、継の匂いの付いたものを探すが、そこには何もなかった。 あ!枕… もぞもぞと移動して、枕を抱きしめた。 継の体臭とフレグランスが混じった、俺の大好きな匂い。 足りないよ…これじゃあ、まだ足りない。 継が被ってる方の布団に包まる。 ふわりと香る匂い。 深呼吸を繰り返し、ほんの少し落ち着いてきた。 俺、どうしたんだろう…

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