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謎の行動⑨

詩音の顔が徐々に明るくなっていく。 纏う匂いも喜びに満ちてきた。 「ほら、詩音。ちゃんと見せて!」 詩音は弾けそうな笑顔になると、俺の手を引っ張って寝室へ連れて行った。 片方の手には、俺の下着をしっかりと握りしめて… 改めて見ると、凄い… こんもりと服やタオルや小物で作られたそれは、まさに『巣』。 先にベッドによいしょと登った詩音は、ワクワクした目で俺を見つめる。 俺もその後を追ってスペースの空いた真ん中へ座った。 「…凄いな…」 きちっと畳まれた衣類は、詩音の性格を現しているのだろう。 色とりどりのそれらは、きっと何度も何度もやり直したらしい。 「詩音、よく頑張ったな。とってもうれしいよ。」 そう言って頭を撫でてやると、ふふっ とうれしそうに微笑んだ。 発情期前のΩが作ると言ってたな。 詩音は発情期ではないのに。さっき中田が言ってた 『詩音君、余程継のことを愛してるんだなぁ。』 と言うことは、この巣は、Ωの愛のバロメーターなのか!? 発情期でもない詩音がコレを作ると言うことは、本当に俺のことを愛してくれている証拠!? その考えに行き着いたら、詩音がとてつもなく愛おしくて愛おしくて堪らなくなり、そっと抱き寄せた。 「詩音….ありがとう…素敵な、素敵な巣をありがとうな。 うれしい…本当にうれしい。ありがとう。」 詩音は穏やかな笑みを浮かべ、俺に身体を預けている。 溢れかえる甘い匂い。 突然、アラームが鳴った。 「うわっ、時間だ!ヤバい! 詩音、急いで昼飯を食べるぞ!」 もう一度『ありがとう』とキスをすると、慌ててキッチンへ駆け込んだ。

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