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惚気①
詩音のかわいらしさにメロメロになってる俺は、後ろ髪を引かれる思いで帰社した。
そして営業部に乗り込むと早速中田を捕まえ、社長室に連れてきて教えてもらった。
「だからね、男のΩが発情期前もしくは発情期にする行動が『Ωの巣作り』なんだよ。
αの匂いに包まれたい、というΩの本能がさ、αの衣類…特に匂いが染み付いてるもの…脱いだ後の下着とか、使用済みのタオルとか…愛するαの匂いが濃厚に残ってる物…をベッドなんかの、いつも二人が愛し合ってる場所に持ち込むんだ。
それ以外にもクローゼットとか、バスタブって例もあるよ。
洋服やタオル、小物に靴…こんもりと、まるで“巣”みたいだっだろ?
だからさ『Ωの巣作り』って言われてるんだ。
Ωがどれだけ番のαのことを愛してるか…っていう証拠みたいなもんだね。
発情期でもないのにそんな行動するなんて…詩音君は継にベタ惚れなんだな。」
揶揄うように言われて、ぼっと顔が赤くなった。
「…お前でもそんな顔するのか…」
中田には引かれたが、俺の心は『詩音でMAX』になり、仕事どころの騒ぎではなくなっていた。
「お前のとこはどうだったんだ?」
「俺んとこか?
ふふっ…うちの柚月もな、発情期の度に見事な巣を作ってくれてさ…その後は燃える燃える。
くっくっくっ。
なぁ、継。俺達は最高の番が見つかって良かったな!」
ぐふふふっ…と妙な思い出し笑いをする中田を見て、正直『キモい』と思ったが、言葉にできなかった。
人のことは言えない…
俺も絶対こんな顔をしてたに違いないから。
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