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準備品①

side:詩音 それから数カ月…悪阻も思っていたほど酷くなくて特に異常もなく、少しお腹が出たかな…という程度で、体型の変化もほとんどなかった。 マタニティ用のスーツも買ってもらい、少し窮屈になっていたウエストも楽になった。 赤ちゃんの性別は、まだ確定ではないがどうやら『男の子』らしい。 まだ継には伝えてない。 はっきりしてからにしようと思っている。 所謂『安定期』に入って、今日は久し振りに、お義母さんと右京さんと一緒に百貨店へ買い物に来ているのだ。 「二人とも悪阻が酷くなくて良かったね。 ベビー用品をそろそろ準備したいから、散歩がてら付き合ってもらおうと思って。 男の子か女の子か…どっちなんだろう。 あー、楽しみだなぁ… まだパパさん達には伝えてない、内緒なんだよね?」 右京さんが 「はい。もう少し内緒にしようと思って。 だって潤、何かとウザいんだもん。 お義母さん、何とかしてよぉ。」 「あははっ、ごめんねぇ。 でも、もうどうにもできないから諦めて躾けてね!」 「詩音君も内緒?」 「ちゃんとはっきりしてからにしようと思って…今、まだ『多分』って感じなので…」 「そう、じゃあ、ベビー服の色はどうする? はっきりしてからもう一度来ようか?」 「俺は白にしようと思ってるんです! あの…もし、もし二人目できても、どっちでもいいように…」 最後の方は、もにょもにょと誤魔化すように言ってしまった。 右京さんも笑いながら 「俺もそう思ってたんだ! お義母さん、俺達二人とも白で! お揃いもいいなぁ…」 お義母さんは満面の笑みで、大張り切り。 「じゃあ、選んでいこう!」

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