485 / 829
準備品①
side:詩音
それから数カ月…悪阻も思っていたほど酷くなくて特に異常もなく、少しお腹が出たかな…という程度で、体型の変化もほとんどなかった。
マタニティ用のスーツも買ってもらい、少し窮屈になっていたウエストも楽になった。
赤ちゃんの性別は、まだ確定ではないがどうやら『男の子』らしい。
まだ継には伝えてない。
はっきりしてからにしようと思っている。
所謂『安定期』に入って、今日は久し振りに、お義母さんと右京さんと一緒に百貨店へ買い物に来ているのだ。
「二人とも悪阻が酷くなくて良かったね。
ベビー用品をそろそろ準備したいから、散歩がてら付き合ってもらおうと思って。
男の子か女の子か…どっちなんだろう。
あー、楽しみだなぁ…
まだパパさん達には伝えてない、内緒なんだよね?」
右京さんが
「はい。もう少し内緒にしようと思って。
だって潤、何かとウザいんだもん。
お義母さん、何とかしてよぉ。」
「あははっ、ごめんねぇ。
でも、もうどうにもできないから諦めて躾けてね!」
「詩音君も内緒?」
「ちゃんとはっきりしてからにしようと思って…今、まだ『多分』って感じなので…」
「そう、じゃあ、ベビー服の色はどうする?
はっきりしてからもう一度来ようか?」
「俺は白にしようと思ってるんです!
あの…もし、もし二人目できても、どっちでもいいように…」
最後の方は、もにょもにょと誤魔化すように言ってしまった。
右京さんも笑いながら
「俺もそう思ってたんだ!
お義母さん、俺達二人とも白で!
お揃いもいいなぁ…」
お義母さんは満面の笑みで、大張り切り。
「じゃあ、選んでいこう!」
書籍の購入
ともだちにシェアしよう!