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準備品おまけ②

「もしもし? …うん…うん。え…そうだったんだ… うん、うん。 母さん、ありがとう。 今度落ち着いたら、右京さんと帰るから、アップルパイ作ってよ。 右京さん、大好きなんだ。 うん、うん。ありがとう、じゃあ、また。 お休みなさい。」 電話を切って、継に渡す。 父さん、母さん…ありがとう… また、じわりと涙腺が緩む。 「継、ありがとうございました。」 継は微笑んで、グラスの半分くらいを一気に飲むと、俺の顔を見て 「まだ腫れてるな…」 と、そっと瞼を撫でてきた。 俺を引き寄せると、頭を撫でながら話してくれた。 「お袋がさ『ベビーちゃんの品物はこちらで全部準備させてほしい』って、買い物の一週間ほど前に詩音の家にお願いに行ってるんだよ。 兄貴んちのも揃えるから一緒にって。 その時に詩音のお母さんが『それでは、お宮参りの祝い着は慣習通りこちらで』って。 母方の実家が揃えて、父方の実家の親が一緒に参拝するんだってな。 俺は知らなかったよ。 で、右京さんの話になって、詩音のご両親が 『それじゃあ、お兄さんの赤ちゃんの着物もぜひうちで』って言って下さったんだって。 『差し出がましいけど、右京さんもお嫁に出したうちの子だと思ってもいいですか?』って。 『また息子が増えるなんて、それに孫も増えるなんて、私達はラッキーね!』って。 それで、その場で手紙を書いてくれて、お袋に見せた後『良ければ右京さんに渡してほしい』って手紙を託されたんだ。 お袋、その場で大泣きしたらしい。 詩音…お前のご両親は凄いよ… 本当に、本当にありがとう。」 俺を抱く継の力が少し強くなった。

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