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準備品おまけ③

知らなかった。 お義母さん、わざわざ実家に行って下さってたんだ… 「お義母さんにお礼を言わなきゃ。 『わざわざ足を運んで下さってありがとうございました』 って。 俺も、右京さんも、お義父さんとお義母さんに物凄くかわいがってもらってて…」 「それ以上にかわいがってるのは誰なんだ?」 継が拗ねた口調で問い掛けた。 くすくす笑いながら 「…継に決まってるじゃないですか。」 と言うと 「わかってるならいいんだ、わかってるなら。」 ブツブツ言って、一気に飲み干してグラスを空にした。 継は、お義父さん達にヤキモチを焼く継が可笑しくて笑っている俺をそっと抱きしめて言った。 「右京さん、“親がいない”“自分がどこの誰かわからない”ってことをずっと気にしてるんだ。 表面では…俺達の前では明るく振舞ってるけど、時々『落ちて』泣きじゃくるんだって。 『こんな俺と結婚させてごめんなさい』 『こんな俺と番にさせてごめんなさい』 って…辛いよな、切ないよな。 愛する番がそうやって泣くのは。 兄貴も、どうしてやれば右京さんが自分を責めるのを止めることができるのか、ってずっと心を痛めてて… 親父も、特にお袋は、右京さんのことを実の息子みたいにかわいがってて、そのお陰で最近は泣く回数も減ってきてたみたいなんだけど。 詩音のご両親のお陰で、泣く回数ももっと減ると思うよ。 詩音…俺達を…温かくて優しい気持ちにしてくれて…ありがとう。 親父もお袋も兄貴も…もちろん右京さんも…本当に感謝している。 俺からも改めてお礼に伺うよ。 アップルパイ、俺も食べたいからな。」 「…継…………」

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