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不満 side:継③
あれこれ考えながらもぼんやりと店内を回って、足りなくなっていた台所洗剤と、トイレットペーパー、それにゴミ袋を買った。
あぁ…こんな情けない気持ちで帰らなきゃならないのか…
匂いで詩音にはすぐバレるかもしれないが…
うろうろしてても仕方がない、帰るとするか。
鬱々とした思いを抱えて、玄関のドアを開けた。
「ただいまー。」
あれ?詩音の出迎えがない。
いつもほわほわとした雰囲気で俺を迎えてくれるのに。
「しおーん?詩音、どこ?」
荷物をどさりとテーブルの上に置き、部屋を見回すが詩音が見当たらない。
どこに行った?
なおも詩音の名を呼びながら探していると、寝室でことりという音がした。
不審に思いドアをそっと開けると…
布団に丸まった詩音がいた。
「すまない。お昼寝だったのか。
…起こして悪かった。」
出て行こうとする俺に
「…継…こっちに来て…」
か細い声がした。
え…?
詩音からはふわりふわりと、あの懐かしい甘い匂いが漂ってくる。
「…詩音?どうしたんだ?気分でも悪いのか?
具合が悪いなら、病院に行かないと…」
「…違うの…いいから、来て。」
その声に誘われ、ベッドの端に腰を掛けて少し出ている頭を撫でてやる。
「詩音?」
布団の中から細い腕が伸び、その指先に小さな正方形が摘まれていた。
不思議に思い じっと見ていると、詩音は腕をぐいぐい伸ばして、俺の目の前に突き出すような格好になった。
まさか。
まさか!?
俺はソレを右手でそっと受け取った。
そして左手の手の平に乗せてみた。
まさか!本当に!?
詩音を見ると、耳まで真っ赤になっていた。
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