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不満 side:継⑨
詩音は再び、俺のまだ萎えない楔をそっと両手で包み込んだ。
「…かわいい…」
えっ…かわいい?
『かわいい』って言った?
こんなグロテスクなモノが!?
詩音のものはかわいいに決まってるけど、“俺の”だぞ!?
詩音、目はおかしくないか?
詩音は、左手で下から支え、右手で優しく撫でながら、俺の楔に向かって話し掛けた。
「…あのね?…赤ちゃんがいるから…産まれるまで出来るだけイイ子でいてね?」
「詩音…」
「あっ!」
かわいい詩音の、かわいい言葉と仕草に、またまた俺の愚息が反応した。
「…詩音…コイツは優しくするとつけ上がるんだ。
…どうする?また元気になっちゃったんだけど…」
揶揄うように、そして願いを込めてそう言うと、詩音は、俺をちろんと上目遣いで見ると
「…ワガママな息子には躾が必要ですね。」
と笑いを堪えながら言った。
その間も優しく俺自身を撫でながら。
「詩音、この子の躾をしてくれるのか?」
詩音はますます顔を赤くすると
「知りませんっ!!」
と手を離し、横を向いてしまった。
はあっ…助平オヤジのような発言をしてしまった…これは夫夫とはいえセクハラだぞ!?
「しーおーんー…」
宥めるように抱き寄せると、二人の腹の間で楔が脈打っている。
「詩音じゃないとダメなんだよ…もう一回手でいいから…お願い…」
きゅっと抱きしめて懇願する。
詩音は俺にしがみ付くと
「…仕方ありませんね…いけない子…」
と言って俺から少し離れ、すっと立ち上がると引き出しからローションを取り出してきた。
そして、俺に見せつけるように手の平に たっぷりとそれを出すと、手を擦り合わせて温め始めた。
俺は期待と焦燥とで心臓をバクバクさせながら、凝視していた。
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