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不満 side:継⑩
にちゃにちゃと、およそ詩音に似合わぬ音を手の平から零しながら、やがて俺自身にそっと両手を纏わせてきた。
触れられた瞬間、あまりの気持ち良さに、ぶわりと鳥肌が立った。
はあっ…
思わず溢れた吐息に、詩音が微笑んだ。
「…継が…俺の手で気持ち良くなってくれてる…うれしい…」
悔しいが、今日の主導権は詩音だ。
正に文字通り、詩音の手の平で転がされている。
今までになく積極的な詩音に少々戸惑うが、それ以上にうれしさの方が勝って、ワクワクが止まらない。
詩音は妊娠すると性欲が増すタイプなのか?
俺としては、諸手を挙げて大歓迎なんだけど。
香川先生は『中には安定期過ぎると、ホルモンバランスや血流が増す関係で、性欲が強くなる人もいるし、逆に全く…という人もいるんだ。
人それぞれだから、妊夫さんの体調を一番に考えてね。』って言われた…
この美しい小悪魔に翻弄されて、俺はまたあっという間に、詩音の手の中にたっぷりと精を放った。
はぁはぁと大きく息をして、詩音を見やると、うっとりとした表情で、手に吐き出されたモノをティッシュで拭いていた。
「…詩音、ありがとう。」
ちゅっと髪の毛にキスをすると、さっき掛かった俺の匂いがした。
マーキングだな。
独り言ちて笑っていると、キョトンとした顔をしてる。
あぁー、かわいいなぁ、詩音。
「俺のでベタベタにしてしまったからな。
風呂に入れてやる。
嫌だとは言わせないよ。」
そっと抱き上げても、詩音は抵抗しない。
諦めたのか、それとも…
さっきまでの淫猥さは何処へやら、俯く詩音の見え隠れする耳が真っ赤だ。
「俺はどっちの詩音も好きだぞ。」
耳元でささやいて、バスルームのドアを開けた。
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