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のんびり①
締切と事後処理が終わり、今月も一段落した。
仕事にも慣れてきて、滞りなく段取りしてこなせるようになってきた。
随分とお腹も大きくなって、時々ぐにぐにと蹴られる感触にも慣れてきた。
ぐにっ
(チビちゃん、もうすぐお昼だよ。
お腹空いた?
パパと一緒にお弁当食べるから待っててね。)
ぐにっ ぐいっ
ふふっ。
お腹が空き過ぎて、ちょっぴりご機嫌斜めな匂いがしている。
携帯のバイブ音が聞こえた。
継だ!!
『急に外出になった。
悪いが昼は別々で。
帰りは一緒に…待っててくれ。』
大きなハートのスタンプ付きで。
(チビちゃん、パパお仕事だって。
残念。
じゃあ、俺達だけでお弁当食べようか。)
ぐいーーっ
ふふっ。
生まれてきたら、こうやって会話をしてたことも忘れちゃうんだろうな。
今だけしか出来ないコミュニケーション。
蹴られた所を撫でながら、少し早めの昼食にしようと席を立った。
お茶を入れ、ミーティングルームに移動する。
柔らかな日の当たる窓際に『よいしょ』と座る。
あー…また出ちゃったよ『よいしょ』。
なるべく言わないようにしてるのに。
あの真夏のギラギラした刺すような暑さは、嘘のように鳴りを潜め、外はすっかり秋…と言うより、秋を通り越して、もう冬の気配だ。
一気に冷たい風が吹き始め、街行く人も首を竦め、コートの裾を翻し歩いていく。
ショーウィンドウには、ちらほらとクリスマスの飾りが目に付くようになっていた。
継は何処まで行ったのかな。
コートを持たずに出勤したけど、寒くなかったのかな。
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