510 / 829
のんびり③
デザートのみかんゼリーも完食して「ご馳走様でした」(自分が作ったものなのに)と両手を合わせ、お茶を飲んだ。
チビちゃんは満足したのか大人しくなった。
あと少し…春になって暖かくなれば、君に会えるね。
男の子…それとも女の子?
継は『楽しみが減るから』と、どちらか聞かなくてもいいと言った。
『内緒にして』って香川先生にも頼んでたし。
俺は…早く聞きたい気持ちもあったけど、継の思いを尊重して、聞かないことにした。
教えてもらったら、きっと継にバレてしまうし。
α?それとも俺と同じΩ?
パパは『どっちでもいい』って。
どっちでも『愛する』って。
その言葉を聞いて、俺は本当にホッとした。
良かったね。本当に。
おじいちゃんズもおばあちゃんズも、四人で手ぐすね引いて待ってるよ。
誰が最初に抱っこするかで喧嘩しなきゃいいけど。
そうそう。
君のいとこも、一足先に俺達とお目見えするよ。
きっと仲良くなれる。
だって右京さんと俺がとっても仲良しだから。
あぁ…何て楽しいんだろう。
これからの出来事をあれこれと想像するのは。
少し出てきたお腹をそっと撫でながら、この子を迎え入れることができて、幸せだと思う。
そして
こんな満たされた思いをくれた継に『ありがとう』って一杯伝えたい。
継、早く会いたいよ。
こんな気持ちの時にいないなんて…
でも、仕事だもん。仕方ないよね。
みんなのためにしっかりと働いてもらいましょう!
はあっ と大きくため息と深呼吸をしてミーティングルームを出た途端にノックの音がした。
「はい、どうぞ。」
息急き切って飛び込んできたのは、愛おしい番!
書籍の購入
ともだちにシェアしよう!