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満喫⑥
相変わらず俺に触りたがる継をやんわりとかわしつつ、それでもイチャイチャしながら迎えた火曜日!
電話越しに元気な二人の声。
『詩音くーん!来客用の駐車場にいるよー!
慌てなくていいからゆっくりね!』
『忘れ物ないようにね!』
「はーい!今降りまーーす!」
ガス…電気…テレビ……オッケー!
忘れ物も…ない!
今日は動きやすい服装で、と書いてあったから、右京さんと相談して、妊夫用のジャージにした。
これがまた滅茶苦茶楽で、毎日これでもいいくらいなんだけど…等と考えながら家を出た。
「お義母さーん!右京さーん!」
「詩音君、走っちゃダメ!」
ぺろっと舌を出して、えへへと笑って誤魔化す。
お義母さんに叱られちゃった。
「もう…気を付けなくちゃダメだよ。転んだらどうするの!
足元が見えにくくなるんだからね!」
「はーい。ごめんなさい。」
「はい!じゃあ乗って乗って!」
「詩音君、無理に誘ってごめんね。」
「とんでもない!俺も興味があったから。
とっても楽しみです!」
「それなら良かった…」
ほわほわと優しい匂いの車内はとても心地いい。
チビちゃんもうれしそうだ。
ふふっ。楽しみだね。
ぽこ
うん。ママはしっかり運動してくるよ。
「終わる頃に駐車場で待ってるね。
右京君、電話頂戴。玄関まで行くからね。
慌てなくてもいいから。」
お義母さんは、ひらひらと手を振って行ってしまった。
通い慣れた病院。
一旦診察室で俺と赤ちゃんのメディカルチェックを受けて、オッケーをもらってから二階の多目的ホールへ。
受付でヨガマットを一枚ずつ受け取り、好きな場所に陣取る。
俺より大きなお腹の人もいる…男性Ωばかりだ!
十人程で一杯になった。
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