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(番外編)真澄の平穏な一日①
〈継が詩音と出会う前の一コマ〉
今日も麻生田家は賑やかだ。
「かぁちゃーーーん!ネクタイ、どっちがいい?」
「うーん、右!」
「うん、しっくりくる。
流石、俺の真澄はセンスがいいな。サンキュ♡
用事済んだらすぐ帰るからな。待ってて。
一人にしてごめんな。」
ちゅ
「はいはい。早く支度して下さいね。」
「お義母さーん!保冷バッグどっち?」
「水玉の方!右京君、あと五分だよ!」
「ヤバーい!」
「母さーーん!夕方五時頃荷物届くから受け取ってー!」
「はいはい。」
「「「行ってきまーす!!!」」」
「行ってらっしゃーーい!」
一気に静まり返った部屋。
俺は大きく息をついて、今日も“朝の戦争に打ち勝った感”に満足していた。
「さーて、第二弾!始めるよっ!」
一人で気合を入れて、キッチンの後片付け、洗濯物干し、掃除機掛け…次々とこなしていく。
「今日は天気がいいからガラスも磨こう!
追加だ!!」
「ふーーっ…終わったぁ…」
ソファーにぽすんと座り時計を見ると、もうお昼近かった。
「もう、こんな時間か…ちょっと張り切りすぎたかな。」
一人だと独り言が多くなるのはご愛嬌だ。
「そうだ!お昼は公園で食べよう!」
思い立ったら即行動。全くΩらしくないΩ。
残りご飯でおにぎりを作り、お昼に食べようと避 けておいたおかずを詰め、戸締りを確認すると家を出た。
柔らかな風に吹かれ、近所の公園のベンチに座る。
「いただきまーす。」
食材に感謝して手を合わせるのは小さな頃からずっと変わらない。
米粒一つでも残したら、親にこっ酷く叱られた。
お陰で裕福だと噂される家に嫁いでも、それに驕ることなく物を大切にしてきた。
[どんな人にでも『ありがとう』と『ごめんなさい』が言えるように。]
母親はいつもそう言っていた。
子供達にも同じように教え、育てた。
あの子達を見ていると…捻 くれながらも、それはどうやら実行してくれているようだ。
右京君にとっての出会いは最悪だっただろうが、潤はかわいいお嫁ちゃん(右京君)を連れて来てくれて。
継はパパの跡を継いでくれた。
後は継にお嫁ちゃんが来れば…俺の子育ても終了だな…
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