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愛情過多⑤

「伊織さん…俺…」 『うん。継君とちゃんと話、しようね。 納得すれば、改善されるから。 二人でトコトン話し合って話し合って…俊哉さんも…アレでも少しはお利口になったんだよ。』 継… 「伊織さん、ありがとうございました! 今晩、継ときちんと話します!」 『そうだね。いくら以心伝心でも、肝心なところは言葉でしっかりと伝え合わなきゃ。 上手くいくように祈ってるよ。 そうだ!体調が良ければ、お天気のいい日にウチに遊びにおいで! 何か美味しいもの食べようよ! きっと継君もくっ付いて来るだろうけど。 寒くなってきてるから暖かくしてね。 冷やしちゃダメだよ。』 「はい。お忙しい中、お時間取ってしまってすみませんでした。 ありがとうございました!」 『何かあったらまた連絡待ってるからね。 じゃあね!』 「はい、失礼します。ありがとうございました!」 伊織さんにお礼を言って電話を切った。 ぽすん とソファーに座り、曇天の空をガラス越しに見つめた。 絶対的αの性分… 継…疎ましく思ってごめんなさい。 チビちゃん、惚気ちゃうけど…パパ、俺のことをとっても愛してくれてるんだ。 あれ?無視?お休みタイムか… それなのに、俺…継に対してヤなことばっかり思ってた。態度にも出てたかもしれない。 今夜、継が帰ってきたら何て言おう。 まず、謝らなきゃ。 きっと『何のこと?』ってキョトンとするかも。 あ…ラ◯ンだ… 『詩音、ご飯食べたか? 今日も美味かった。ありがとう。 早く帰りたいよ…会いたい』 それを読んだら、涙の膜が張って、画面がボヤけて見えなくなった。 継…俺も、俺も早く会いたいです…

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