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愛情過多⑧
継が大好きだと言っていた肉じゃがと、唐揚げとサラダを…お義母さんのレシピ通りに作って、継が帰るのを今か今かと待ち侘びていた。
勿論“何してる?”“何食べた?”メッセージと“帰るコール”は掛かってきたけど。
ガチャガチャッ
「しおーーん!ただいまぁ!
チビちゃん!ただいまぁ!」
継だ!
「お帰りなさい!」
俺を見てふにゃりと相好を崩した継は俺の髪の毛にキスをして「ただいま」と、そしてお腹に手を当ててチビちゃんにも「ただいま」と言った。
くんくんと鼻を鳴らしてリビングに入ってきた継は
「ん?いい匂い…これって肉じゃが?」
「はい!継、大好きだって言ってたから…」
「うれしいな。詩音が作ってくれるのは何でも美味いんだが。
先に風呂入って、ゆっくりいただこうか。
…詩音も入るか?…なんちゃって。」
惑うことなく
「はい。じゃあ、一緒に…」
「えーーーっ???ホントに???
詩音…一緒に入ってくれるの?」
目をまん丸くした継は、自分の頬を抓って「痛てててっ…夢じゃない…」と悶絶していた。
強く捻り過ぎて赤くなった頬を摩りながら、片手で俺の頬をそっと撫で問い掛ける。
「すっごくうれしいけど…今日はどうしたの?
何かあったの?」
俺は、今がチャンスだと思い切って言った。
「俺、継に謝らなくちゃならないことが沢山あるんです!
継、ごめんなさい!」
首を傾げて眉を寄せた継から、戸惑いの匂いがしてくる。
俺をソファーに連れて行くと、ネクタイを外しながら、横に座れ とばかりに隣をぽんぽんと叩いた。
今にも泣きそうな俺は素直に従い、それでも少し離れて座った。
「どうして離れて座るんだ?」
継が間を詰めて寄ってきて、そっと腰を抱かれた。
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