536 / 829
こんにちは赤ちゃんside:潤①
俺の右京が臨月に入った。
そんなある日、お袋は不思議なことを言い出した。
「右京君、何だか凛々しい顔になってきて…ひょっとして男の子かなぁ…
お腹も前に突き出してるしねぇ。」
「え?何だそれ?」
「お義母さん、本当ですかぁ?」
「昔っから言われてるんだけどね、お母さんの顔が、赤ちゃんが男の子だとキリッと凛々しく、女の子だと優しくなるんだって。
お腹もね、男の子だと前にぽこっと。女の子だと横に広がるって。
そういう人が多いんだよ。
潤と継の時、俺はそうだったんだ。
あー、どっちでも楽しみだなぁ。
いい子で出てくるんだよ。
そうだ!ちょっと待っててー!」
右京のお腹に向かって話しかけて、バタバタと奥へ引っ込んで行った。
そう言われれば、俺から見ても顔付きが変わってきた と思う。(童顔の愛らしいアイドルがイケメンに変わった風という認識)
「ねぇ、潤?」
「ん?どうした?」
「今更だけど…潤はどっちがいいの?
それに…αじゃなかったら……ゴメンナサイ」
最後の方は小さく呟いて俯いた右京。
愛おしくてならん!
んー、何だ、このいじらしくてかわいい生き物はっ!
くいっと顎を掴んで俺の方を向かせると
「俺と右京の子供だ。
どっちでもいいに決まってるだろ?
αだろうがβだろうがΩだろうが、逞しく立派に育てるから心配するな!」
いらぬことを言い出す唇にキスしようと触れ合う寸前
「お待たせぇ!」
とお袋が何やら抱えて持ってきた。
慌てて離れて、チッと舌打ちする。
イイトコ邪魔しやがって。
書籍の購入
ともだちにシェアしよう!