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こんにちは赤ちゃんside:潤②

不機嫌な俺と真っ赤な顔の右京を見比べたお袋は 「ありゃりゃ、お邪魔虫〜」 とか何とか、ごめんごめんと言いながら、アルバムを数冊出してきた。 「ほら、これが潤がお腹の中にいる時。 こっちが継。 ね?顔、凛々しいっていうより…ちょっと強面かも… お腹もぽこって前に出てるだろ?」 「お義母さん、すっごい綺麗!本当に妊夫!? 今と全然変わらなーい!! ってか、今も変わらずキレーーーイ! ん…そう言われたらそうかも。」 確かに…今よりキツい顔のお袋がそこにいた。 幸せそうに大きなお腹に手を当てて。 次々とめくっていくと、生まれて間もない赤ちゃんの写真が出てきた。 「これ、潤だよ。何だかねぇ…生まれた時から“こんな感じ”だったよ。」 「あははっ!お義母さん、“こんな感じ”って! あー…“こんな感じ”…あははっ!」 「お袋…右京…」 お腹を抱えてひぃひぃ笑う二人を睨んでみたものの、全く効かない。 「あははっ…あー、お腹痛いー! …それでね、こっちが継の時。」 「本当だぁ。お義母さんの顔、タカラヅカみたいになってる…イケメン…」 「俺の時より男前じゃん。」 「あー!そうかもー! あ、これ、兄貴ヅラしてる潤だよ。」 写真を覗き込むと、得意気に継を抱いた俺が写っていた。 右京はそれを見て「偉そう」だとか「一丁前に」とか言ってお袋と笑っていたが、ページが進むうち口数が段々と減ってきて、遂に黙り込んでしまった。 「右京?」 どうしたのかと右京を見ると、大きな目に涙を一杯に溜めて我慢していた。 「右京?」「右京君?」 訝しんでその名を呼ぶと、しくしくと泣き出してしまった。

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