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祝福⑥
一緒に仕事に行っていた間は、詩音の体調を考えて(これでも)七割程度の抱き方をしていた。
今は、詩音が産休で家にいるのをいいことに、そうやって俺は詩音をその気にさせて“奉仕”させたり、お腹に無理のないように抱いた。
詩音も俺の性欲を知っているからこそ、俺を受け入れ出来るだけ相手をしてくれていたのだ。
今夜も…情交の後、ぐったりと静かに寝息を立てて眠る美しい夫 の寝顔を眺めながら、賢者タイムに突入している。
詩音からは、いつもの甘く芳しい中に、疲労と困惑と…雑多に混じった匂いがしてくる。
一応反省しているんだ、俺だって。
鬼畜だ…自分でもそう思う。
自制しようと思う。思っては いるんだ。
けれど…
いい匂いを振り撒いて、俺に微笑む詩音を見てるだけで、身体が疼いて治まらない。
みんなどうしてるんだ?
暴走し止めようもない愛おしい伴侶への想い。
誰に聞けば…
そうだ!
兄貴……どうやって我慢してたんだろう…
こんなこと聞いたらバカにされる?
いや、俺と同じくらいに番を溺愛してる兄貴のことだ、絶対我慢なんてしてた訳ない!
どうせお祝いを持って行くんだから、その時に…
笑われてもいい。
俺にとっては切実な問題なんだ。
そうと決まれば、詩音の温もりと匂いを嗅ぎながら眠るとしよう。
おやすみ、愛する詩音。
俺の隣で無防備に眠る美しい姫君。
俺は再び反応し始めた愚息を叱りつつ、詩音を起こさないようにそっと抱きしめて、甘く優しい匂いを思い切り胸に吸い込んで、目を閉じた。
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