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ユルい相談⑨
トントン
「はいはい、どうぞ。」
我が家のラスボスその①が顔を出した。
「パパ、ダンナ三人で閉じこもって何やってんの?」
「ははっ。まぁその…人生相談だよ。
どうした?かーちゃん、俺がいなくて寂しくなったのか?こっちにおいで。」
「パパったら…もう。」
お袋はポッと頬を赤らめると、親父の隣に すとんと座りぴったりとくっ付いた。
あ…デレ発動した。
チラリと継を見ると、視線をあらぬ方向に向けて見ないようにしている。
(おい、継、出るぞ。)
小声で伝えて
「親父、ありがとう。俺達ちょっと出掛けてくるから。」
「その間、詩音をよろしく。」
「分かった。詩音君には何て言えばいい?」
「…今、伝えてから行くよ。
お袋、いちゃいちゃもいいけど、詩音を独りぼっちにしないでくれよ。」
「分かってるよーだ。」
ぷんすこ怒っているお袋達を後にして、右京の着替えを詰め替えて継を待っていた。
たった数時間離れるだけで何分イチャついてるんだ。
ようやく車に乗り込んできた継が
「詩音にさ、正直に言ってきた。
そしたらアイツ『ごめんなさい』って泣くんだよ。
…言わなきゃ良かった…かな…」
「お前が言わなくても、すぐにあの二人からバレるだろ?
他人から聞かされるより直接言った方がいいじゃん。
俺、診察終わったら右京に着替え届けるから、ちょっと待っててよ。
俺もちゃんと伝えてくる。」
「うん。分かった。…兄貴、ありがとう。」
「ん?いや。こちらこそ。
あーあ…俺達、不憫だけど幸せだなぁ。」
「だって…片時も離れたくないんだもん。
かわいくって愛おしくって…外に出したくない。
俺以外の誰にも見せたくない。
なぁ、俺って変?」
「奇遇だな、継。俺もずっとそう思ってる。」
「兄貴…」
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