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嫁姑…①
「だからねぇ、そろそろ こっちに来たらどう?
継がいない時に何かあってもすぐ対処できるから…
詩音君もその方が安心じゃない?
空いてる部屋はいくつもあるから…」
「俺も詩音君がいてくれた方が気が紛れていいんだけどな…」
「ここからの方が病院に近いし、かーちゃんのご飯も食べれるぞ?」
「継だって、詩音君一人にしといたら気になって気になって、仕事にならないだろ?
俺達のことは気にしなくていいから、詩音君とチビちゃんのことを一番に考えてやれよ。」
麻生田家のみんなから、口を酸っぱくして言われ、思いっきり甘えて産後落ち着くまで、お世話になることになった。
両親も兄夫婦も『帰っておいで』と何度も言ってくれた。
その言葉に、実家へ…とも思ったけれど、実質兄夫婦がメインで暮らしていて『もう、俺がいた頃の“俺の家”じゃない』と、頼ることを何となく憚られて…
それに、継も自分の家の方が甘えられていいと思って…
という訳で…
「今日からお世話になります!
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願い致します!」
ぐい、ぐにっ
はい、チビちゃんもご挨拶完了。
満面笑顔の四人プラス、右京さんの腕の中で くぅくぅと眠る優君に迎えられた。
継の部屋だった所に必要な荷物を運び込んだ。
お義父さんは、事前に大きなベッドに替えてくれていた。
「お義父さん、わざわざありがとうございました。」
「丁度、あのサイズを欲しがってる人がいてね、譲ったんだ。
だから、気にしないでいいんだよ。
疲れただろ?さ、ゆっくりしなさい。」
「はい!何かとすみません…」
そこへ、パタパタと右京さんがやって来た。
大音量で泣く優君と一緒に。
「ダメだぁ…優、泣き止まない…
お義母さん、何でぇ?」
右京さんも半ベソだ。
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