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嫁姑…④
赤ちゃんがいるだけで、こんなに賑やかで大騒ぎで、それが温かくってうれしくって。
チビちゃん、もう少ししたら、この輪の中に入れるからね。
ぐにゅ
ふふっ。そうだよね。早く仲間に入れてほしいよね。
そっと継の様子を伺うと、さっきのダメージから回復したようだった。
イケメン復活。
…百面相の継もかわいくて好きだけど、やっぱり…カッコいい…
俺の視線に気付いた継は
「詩音?どうした?」
「いえ…継、カッコいいな、って…」
思わずポロリと口をついて出てしまった…
「おやおや、ご馳走様。
そうだ!三時のおやつにするとこだったんだ。
ちょっと待っててねー!」
お義母さんが揶揄いながら、パタパタとキッチンへ走って行った。
継は崩れた満面の笑みで俺の肩を抱き寄せたが、居たたまれなくなってその腕から摺り抜け、お義母さんの後を追いかけた。
あー…やっちゃった…
恥ずかしい…みんないるのに…
「…お義母さん…」
「あ、詩音君、手伝いに来てくれたの?
ありがとうね。
ふふっ。継の扱いも上手になったね。
何があっても、あれで一週間はご機嫌だよ。」
いい子、いい子、と頭を撫でられて、余計顔が真っ赤になった。
「詩音君のことを好き過ぎて、無体なことをするかもしれないけど…ごめんね。」
「…でも、お義母さん…継、とっても我慢してるんです。」
「…あぁ…でも、それは仕方のないこと。
あちらはあちらで考えなくちゃならないことだからね。心配しなくても大丈夫!」
にかっ とお義母さんが笑った。
たった一言だけで、全てを察してくれる完璧なひと。
「俺、お義母さんがお姑さんで、本当に良かった…」
心の声が言葉になって出ていた。
お義母さんはまた頭を撫でてながら言った。
「俺も右京君と詩音君がお嫁ちゃんで最高だよ!」
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