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嫁姑…⑩
お義母さん…
まるで連ドラみたいな…そんな辛い思いをしてきたなんて。
あなたの優しさや強さは、その辛さの上にあったのですね。
受けた傷を他人に打つける人も多いけど、お義母さんは、それを受け入れ、赦し、昇華して愛に変えてしまったんだ。
ただただ、涙が流れる。
どんな感情かと問われても、上手く言えない。
きっとΩの俺達じゃないと分からない部分がある。
昔は今よりももっと、Ωに対しての偏見が凄かったんだろう。
きっと…きっと毎日泣いてたに違いない。
お義父さんの知らないところで。
隠れて一人で。
!!!
そうか…だから『一人で泣いちゃいけない』って言ってたんだ!
気丈に振る舞うお義母さんに、お義父さんが気付いて行動したんだ。
愛するお義母さんを守るために…
右京さんも…ぐすぐすと鼻を鳴らして泣いている。
「あー…こんな話、嫌だったよね…ごめんね。
ほらほら、泣かないで!
ね、このパウンドケーキ。
抹茶味、イケるんだよ!食べてみて!」
少し目元の潤んだお義母さんに、俺達二人は、タイミングを合わせたかのように、同時に抱きついた。
「「お義母さんっ!!!」」
「うわっ!」
泣きながら抱きついて離れない俺達を抱きしめ、頭を撫でてくれるお義母さんからは、なんとも言えぬ優しくて柔らかくて穏やかな匂いがしてくる。
お義母さん…このお家に嫁がせて下さって、ありがとうございました…
お義母さんと右京さんにも縋り付いて抱きしめ合って…涙も治まった頃、そっと身体を離した。
ふわふわと優しい匂い。
目の前のお義母さんは、あんな酷い目に遭ったとは思えないくらい気高くて綺麗で。
「パウンドケーキ、食べよ!」
優しい微笑みが降ってきた。
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