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誕生①

お義母さんの優しさの“元”を知って、益々お義母さんのことが大好きになった。 俺達に充てがわれたのは、継が元々使っていたという広くて日当たりの良い部屋だった。 備え付けられたソファーにもたれて、ぼんやりと座っていた。 “真理子さん”…継のおばあちゃん… そんなにΩが憎かったのですか? Ωって、存在してはいけないのですか? 同じ人間なのに? 俺は…Ωだけれど。 継と出会えて、継と番になれて、この家にお嫁に来れて、子供も授かりました。 お義父さんにお義母さん。 お義兄さんや右京さん。 みんな、Ωの俺を家族の一員として温かく迎え入れてくれました。 お義母さんはとっても優しくて逞しくて。 俺はお義母さんが大好きです。 俺も…お義母さんみたいに強く、強くなりたい。 「…おん、詩音…どうしたんだ?気分でも悪いのか?」 継が心配そうな顔で覗き込んでいた。 「…継…」 思わず、抱きついた。 継は何も言わずに俺を抱き上げ、横抱きにすると、頭を撫で、言葉を発しない俺をそのまま抱き続けてくれた。 とくとくとく 規則正しい心臓の音が俺の身体に染み込んでくる。 すんすんと胸の辺りの匂いを吸い込むと、甘くて優しい匂いがした。 継には…Ωが大嫌いだった真理子さんの血が流れている。 辛さを昇華したしなやかなお義母さんの血も。 継、継は… 「詩音…愛してるよ。」 びっくりして継の顔を見つめた。 「聞こえなかったか? 『愛してる』と言ったんだ。」 笑いながらそう言って、ちゅっ とキスをくれた。 この(ひと)は…どうして、どうしていつも一番ほしいものをくれるんだろう。 俺が思っていることも全て受け止めて… 「…俺だって、愛していますよ。」 とびっきりの思いを込めて、キスのお返しをした。

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