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誕生⑤

よくドラマに出てくる大きな照明。 かちゃかちゃという金属音。 香川先生や看護師さん達の簡潔明瞭な声。 消毒薬の匂い。 そして…… おぎゃあ おぎゃあ おぎゃあ 生まれた!!!!! 「詩音君、おめでとう! 元気な男の子だよ!こりゃあイケメンだ!」 「…先生…ありがとうございました…」 お腹の上に乗せられ、元気に泣く子は… 継と俺の… ぶわりと涙が溢れてきた。 ありがとう。 元気で生まれてきてくれて。 チビちゃん、ようこそ麻生田家へ。 綺麗に洗ってもらい、胸に抱かせてもらった。 温かい、小さな小さな宝物。 「詩音さん、おっぱいあげてみましょうか。」 助産婦さんが、そっとチビちゃんに乳首を含ませてくれた。 驚いたことに、少し膨らんだ乳房が じわっと張ってきた。 ちゅくちゅくと勢いよく吸い付くチビちゃんに反応するかのように…出ているのだ! 反対側も滲んできていた。 母乳だ…凄い…俺、本当に“お母さん”になったんだ… 感動で声も出ない俺に 「後でマッサージも教えるからね。 さ、お待ちかねのパパとおばあちゃまにお顔を見せてくるわね。」 と優しく声を掛けられた。 傷の縫合を終えた香川先生が 「麻酔が切れる頃には痛みが出るだろうから、我慢できなければ痛み止めを出すからね。 大仕事お疲れ様。 頑張ったね、詩音君。 パパとおばあちゃん、大喜びだよ。」 「…先生…」 「はい、どうした?」 「どこも悪いとこないですか? それと…あの子の…あの子のバースは?」 「大丈夫!五体満足! 簡易検査では、αだよ。 もう少ししたら詳しい結果が出るから。 心配いらないよ。」 今度こそ全身の力が抜けた。 良かった…

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